「セナ、やめて」


「…あ?」


「私気にしてない。そんなのの為に、喧嘩するな」






消毒液の独特な香を
押さえながら


セナの腕を消毒する。





ありがとう



ごめんね




こんな一言も言えない。





馬鹿は私、だ。





「サユリ」


「……」


「自分捨てすぎ」


「………」


「やめろ」






涙は……出てこない




セナは優しい




なのに一人だ。




私と同じ




人間との付き合いが苦手だから。