カウンターの前に立つ、陽平。

ドームの入り口で立ち尽くすあたし。


二人の間にある距離は
そんなに遠くはないはずなのに、ずっと離れた場所で見つめ合ってるような気分だった。


思えば、あたしと陽平はいつもそうだった気がする。



近くに居るはずなのに遠くて。

一緒に居ても、どこか寂しくて。



どんなに同じ時間を過ごして居ても、心に芽生えた寂しさは埋まらなかった。



……そう、ずっと。





「…何しに、来たの?」

「織葉さん…?」


あたしのただならぬ様子に、おきちゃんが戸惑っているのが伝わって来る。


それでも、止まらなかった。



「もう来ないでって言ったでしょ!?」

溢れ出したあの時の悲しみは
あの日の絶望感は、言葉として吐き出される。


「よく平気な顔して来れるよね。あたしが、どれだけ…っ!」


喉が、焼けるように痛い。


泣くのは嫌なのに
涙なんか見せたくないのに。


それでも、止まらないのは何故?




「あんたなんか――――っ!」

「オリ!」