バタン、と扉が開き
反射的に視線を声のする方へ向ける。
そこには戻って来たおきちゃんが居た。
「…どうしたの?」
と聞いたあたしに
彼女は走り寄って来ると、何やら興奮した様子ではしゃぎ始めた。
「織葉さんを尋ねて来てる人が居るんですけど!しかも超イケメンのっ!」
「え?」
思わず首を傾げる。
だけど思い当たる節もなく
あたしはおきちゃんに引っ張られながら、ドームの入り口まで連れて行かれた。
そしてドームを出ると
「ほら、あの人っ!」
未だ興奮状態のおきちゃんがカウンターの方を指差す。
そこでやっとおきちゃんはあたしを解放してくれた。
「もぉ、そんなに慌てなくても…、」
一方のあたしは
引っ張られて痛む腕をさすりながら顔を上げる。
―――息が止まるかと思った。
それと同時に襲う、深い嫌悪感。
「……陽平、」
名前を呟けば、あの日の痛みがあたしの胸を貫いた。

