―――日本で一番、星が綺麗に見える場所を知ってますか?
まるで、お手本に出てきそうな文字の羅列。
思わず胸の奥が、ふわりと優しくなる。
じっとその文字を追っていると
「あれ?」と首を傾げたおきちゃんに、あたしの意識はそこで現実に引き戻された。
「どうしたの?」
「…もう一通ありますよ?」
「え?」
ほら、と手渡され
あたしはそれを受け取り、ハガキを裏返しにすると
さっきと同じように、その文字を辿る。
―――君に、いつか空を埋める程の満天の星を見せたいです。
「……本当だ。」
「何でしょうね?いつもは週に一度くらいしか来ないのに。」
「うん…、」
「でも、もうstar letterを送る必要もなくなりますもんねーっ!」
「んもう、おきちゃん!」
ちゃかす彼女に、軽く背中を叩くとふと彼方と目が合った。
彼方は「よかったな。」と言って、柔らかく笑う。
だけど――――。
「じゃ、俺行くな。」
そう残し、背中を向けた彼方の横顔がどこか寂しそうに見えたのは
あたしの気のせい…
……だったのだろうか。

