7月7日、逢いたくて




―――日本で一番、星が綺麗に見える場所を知ってますか?




まるで、お手本に出てきそうな文字の羅列。

思わず胸の奥が、ふわりと優しくなる。



じっとその文字を追っていると
「あれ?」と首を傾げたおきちゃんに、あたしの意識はそこで現実に引き戻された。



「どうしたの?」

「…もう一通ありますよ?」

「え?」


ほら、と手渡され
あたしはそれを受け取り、ハガキを裏返しにすると

さっきと同じように、その文字を辿る。




―――君に、いつか空を埋める程の満天の星を見せたいです。




「……本当だ。」

「何でしょうね?いつもは週に一度くらいしか来ないのに。」

「うん…、」

「でも、もうstar letterを送る必要もなくなりますもんねーっ!」

「んもう、おきちゃん!」


ちゃかす彼女に、軽く背中を叩くとふと彼方と目が合った。


彼方は「よかったな。」と言って、柔らかく笑う。



だけど――――。



「じゃ、俺行くな。」


そう残し、背中を向けた彼方の横顔がどこか寂しそうに見えたのは

あたしの気のせい…



……だったのだろうか。