自分でも
どうしてそう思うのか
何でそう感じるのか、わからない。
ただ、陽平を想っていた過去を知ってる彼方に
聞かれるのが、怖かったのかもしれない。
でももう、あたしは陽平を好きな訳じゃないし
誰に咎められる事もないんだろうけど…。
黙り込んだあたしに
彼方は「よかったじゃん。」と一言だけ言った。
「…え?」
その言葉に誘われて顔を上げれば、彼方は口の端を上げて笑って続ける。
「だって、待ってたんだろ?」
その人の事、そう言われあたしはまた黙った。
…待ってた?
あたしが、あの人を?
誰に問い掛ける訳でもなく、あたしは心の中で彼方の言葉を繰り返す。
いくら考えたって、答えは出そうにもない。
けど、また会いたいと思ってたのは事実だ。
だからあたしは二人から視線を逸らしたまま
「……うん、」とだけ答えた。
すると、案の定…とでも言うか
再びおきちゃんは熱の入った声で、あたしを肘で突く。
「以心伝心、ってやつですねっ!」
「何よそれ、」
「だって、ほら!」
そう言って手渡されたハガキは、見覚えのある文字が綴ってあった。
5通目の、star letterだ。

