7月7日、逢いたくて



「ええーっっ!?」

「おっ、おきちゃんっ!しーっ!!!」


絶叫に近いおきちゃんの声に
ミュージアムに居た数少ないお客さんの視線が、あたしたちへと一斉に刺さる。

咄嗟におきちゃんの口を塞いだけど、それは無駄な努力だったようだ。


あたしとおきちゃんは
下手くそな愛想笑いを振り撒き、お客さんの目が再び他へ向けられると

安堵の溜め息と共に、口を開いた。



「おきちゃん声大きいってばっ!」

もちろん、小声で。



だけど、彼女は未だ興奮冷めやらぬ様子で身振り手振り話し出す。



「だ、だって!それって完全にそうゆう事じゃないですか!」

「そうゆうって…そんなのまだわかんないよ。」

「いや、絶対そうですっ!」

「…そうかなぁ?」

「だからそうですってばーっ!」


きゃーっ、素敵ーっ!と騒ぎ立てるおきちゃんを尻目に、話す相手を間違えたかも、と思った。

ただでさえ、おきちゃんの声は高くて通る声をしてるのに
こうなったら落ち着くまで放っておく他ない。



「で?で?どうするんですかーっ!?」

「どうするも何も、別に…。」

「ええ~っ!じゃあ連絡しないんですか!?」

「だからおきちゃん声大き、…った!」


詰め寄って来る彼女に気を取られていると、ふと頭上に走った痛みに思考回路が鈍る。


痛みの原因に
顔を上げると、そこに居たのは。