「ええーっっ!?」
「おっ、おきちゃんっ!しーっ!!!」
絶叫に近いおきちゃんの声に
ミュージアムに居た数少ないお客さんの視線が、あたしたちへと一斉に刺さる。
咄嗟におきちゃんの口を塞いだけど、それは無駄な努力だったようだ。
あたしとおきちゃんは
下手くそな愛想笑いを振り撒き、お客さんの目が再び他へ向けられると
安堵の溜め息と共に、口を開いた。
「おきちゃん声大きいってばっ!」
もちろん、小声で。
だけど、彼女は未だ興奮冷めやらぬ様子で身振り手振り話し出す。
「だ、だって!それって完全にそうゆう事じゃないですか!」
「そうゆうって…そんなのまだわかんないよ。」
「いや、絶対そうですっ!」
「…そうかなぁ?」
「だからそうですってばーっ!」
きゃーっ、素敵ーっ!と騒ぎ立てるおきちゃんを尻目に、話す相手を間違えたかも、と思った。
ただでさえ、おきちゃんの声は高くて通る声をしてるのに
こうなったら落ち着くまで放っておく他ない。
「で?で?どうするんですかーっ!?」
「どうするも何も、別に…。」
「ええ~っ!じゃあ連絡しないんですか!?」
「だからおきちゃん声大き、…った!」
詰め寄って来る彼女に気を取られていると、ふと頭上に走った痛みに思考回路が鈍る。
痛みの原因に
顔を上げると、そこに居たのは。

