ぼんやりとその人の手元を見つめていると

「じゃあ、これでお願いします。」

ペンを走らせていた手が止まり
あたしの意識も、そこで引き戻された。


はっと我に返ったあたしは
慌てて作業に取り掛かる。


「あ、はい!では、お会計に…、」


でも、あたしの言葉はそこで止まってしまった。

いや、止まってしまったというよりも
言葉が喉に引っ掛かってしまい、なかなか上手く吐き出せなくなったのだ。



伝票には、見覚えのある文字。


達筆で、だけど少し癖のあるその文字が
あたしの視線を引き止める。





嘘、まさか……でも―――、




「…あの……?」


遠慮がちに聞こえた声に
あたしは再び我に返り、弾かれるようにその人へと視線を持ち上げた。



「どうかしました?何か書き漏れでも、」

「いっ、いえ!大丈夫です!」


そう答えたものの
心臓を打つ鼓動は、速まってゆく一方で。

手続きを進める手が、自分でもわかるくらい震えていた。




見覚えのある、文字。


伝票に書かれた文字は
いつも送られてくるstar letterに書かれた文字とほとんど同じ…

いや、全く同じだったのだ。