―――それから、季節は巡り巡って

あっという間に過ぎてしまった5年という歳月。



でも、充実した毎日だった。

私生活で息苦しい事があっても
星と触れ合っている時間は、嫌な事全てを忘れていられる。


それくらい、星というのは
あたしには身近な存在で。

大袈裟に言っちゃえば、星を見るのがもはや日常の一部なのだ。


もちろん、未だに勉強だってしてるし
天体の知識も、まだまだ未熟だと自負してる。

館長は「十分だよ。」って言ってくれるけど
あたしは根っからの負けず嫌い。



「ゼータ星のすぐ側にある、超新星の残骸は?」

「………。」

「…ぶっぶー。時間切れ~。」

「ちょおっとーっ!今考えてるんだってば!」

「M1 カニ星雲な、覚えとけ。」


彼方に負けるのは、何だか悔しくて仕方ない。



ひらひらと手を振り
「お疲れー。」なんて余裕の笑顔で去っていく彼方の背中を、ナイフのように尖った視線で睨みつける。



「あーっ、もう何なのアイツーっ!!!」


キーっと髪を掻きむしるあたしに
おきちゃんが宥めようと「まあまあ!」と苦笑いを作った。


あたしと彼方は、いつもこんな感じ。


例えるなら
最大のライバル、とでもいったところだろうか。


…まぁ、そう思っているのは多分あたしだけだろうけど。