「ねぇ、彼方。」

「ん?」


芝生に座り込んで、二人で星空を見上げる。

重なった手は
二人の距離を近づけた。



「今日、七夕だよ?」

「あぁ、そっか。」

「…もしかして、今気付いたの?」

「仕方ねーだろ、俺は忙しいんだっつーの。」

研究ばっかで忘れてた、と言う彼方が何だか可愛らしい。


ふふっと笑うと
「何だよ、」と彼方が照れくさそうにあたしを見つめる。


幸せが、溢れてゆく。

それと同時に、胸の中がいっぱいになっていくのは何でなのかな。



「ああー、くそっ!」

「な、何?」

突然わしわしと頭を掻き、声をあげる彼方に思わず驚いてしまった。


すると、彼方はあたしを引き寄せて言う。



「何で俺、お前の事こんな好きなんだろ。」

ドキン、と跳ねた心臓。


だけど、心は温かくて。




「あたしも、好き。」

「…織葉、」

「どーしようもなく、彼方が好き。」

「……それ以上言わなくていい。」


塞がれた唇は、繋がれた手よりも


ずっと優しかった。