二 人 日 和



「え?バイト増やす?」


――お昼休み。

いつもの4人で
いつものように食堂に集まると、神楽くんの言葉に他の3人の視線が同じ方向へ動いた。



「増やすって、神楽今週4でやってるんでしょ?」

桜井くんに続いて
そう尋ねた玲に、神楽くんは困ったように頭を掻く。


「そうなんだけどさ、今チーフが体調壊してて。」

だからしばらくの間、一日増やすんだと言いながら。



「お前、そんなにバイトして大丈夫なのかよ?」

「んな事言ったってしょうがねーじゃん。」


はぁ、とめんどくさそうに溜め息をつく神楽くん。



けど、あたしは俯いた顔を上げる事が出来なかった。


バイト増やすって…。
あたし、何も聞いてないよ?

昨日、バイトが終わってから電話した時は何も言ってなかったのに…。



どうして…?




何も言えず、動揺を隠せないあたしに気が付いたのは

「日和はどーすんのよー!」

もちろん、玲だった。


その瞬間
ぶつかった視線に眉を下げた神楽くんは、ポンとあたしの頭を撫でる。

いつになく優しい声で。




「ごめんね、日和。」