二 人 日 和



でも、やっぱり答えはいつも同じ。



「…頑張って、ね?」

「ん?」

「…バイト、」

「うん、ありがと。」


嫌われたく、ないから。


うざったい女に思われるのは嫌だから。


「じゃ、俺行くね。」

「…うん、」

「ちゃんと真っ直ぐ帰れよ?」

「わかってるよぉ!」


こうやって
不安を無理矢理笑顔に変えて、あたしは手を振るんだ。


遠ざかる背中に、見えなくなるまでずっと。



そして、その不安を引き連れてあたしは家に帰る。



泣きたくなる夜も
寂しいって思う一人きりの部屋で

懸命に自分を励ます。



そうする事で、押し潰されそうな不安を消そうと必死だった。


今にも崩れそうな、ちっぽけな虚勢を保ってた。




だけど、そんなバカみたいな不安のせいであんな事になるなんて―――。