二 人 日 和



でも、そんな優しさが嬉しい反面、少しだけ申し訳ない気持ちになる。


何だか神楽くんに無理させてるみたいで
心臓の奥が、きゅっと痛くなるんだ。


あたしはどうしてこうなんだろう、って
自分を責めたくなってしまう。

してもらうばかりで、そのくせ不安になったりなんかして。

こんなんじゃダメだ、って思っていても
胸に住み着いた弱虫があたしをマイナス思考に陥らせる。



けど、それじゃ
あたしはいつまでたっても神楽くんに相応しい彼女にはなれないから。


あたしは、神楽くんに何をしてあげられるかな?


どうしたら、あたしは神楽くんの役に立てる?




「俊介たち遅いなー。」

窓の縁に寄り掛かり、神楽くんが呟く。

あたしは「そうだね、」と返事をした後
意を決し、神楽くんに問い掛けた。


「神楽くん、」

「ん?」

「あの、ね…。」

「何、どうした?」


もたれていた体を起こし、神楽くんがあたしの顔を覗き込む。


たったそれだけで
胸が高鳴って、あたしをどうしようもなく切なくさせた。


…あたしが、神楽くんの彼女としてしてあげられる事。




「しばらく、一緒に帰るの…やめない?」



“彼女”の、役目。