彼女の目をまっすぐに見る事が出来る。


手だって震えたりしない。




「未希ちゃん・・・私、本当にごめんなさい。」



運ばれて来たアイスコーヒーに手をつける事なく、彼女は私に頭をさげた。



「私、本当にひどい事を言ってしまって。あなたを傷付ける言葉をあえて選んで言ったの。」



彼女に言われた言葉は・・・忘れる事は出来ない。



「謝って許される事じゃないのは分かってる。でもどうしても謝りたくて。私、女として、人間として、本当に最低な事をしてしまった。」


涙ぐみ、唇を噛み締める彼女を見ていると、何だか胸の奥がスッキリしていくのを感じた。



あの時ショックだったのは彼女の言葉ではなく、何も言い返す事の出来なかった自分。



「三橋さんに言われたの。“未希じゃないとダメなんだ”って。“未希はすごく弱虫だけど、本当は誰よりも強い子なんだ”って。」



ノブくんの話になると、不思議なくらいに涙腺が弱くなる。


じんわり浮かび上がった涙を見て、工藤さんはハンカチを差し出してくれた。



「あなたの生き方、私はすごいと思う。私はあなたには適わない。本当にごめんなさい。三橋と幸せになってね。」




.