グランディオ

わざわざデッドラビューンに行く必要もなくなったと思ったが、彼女はクウェイトの行方を知ってはおらず、探す手間が省けただけとなった。

どこのギルドのアジトもそうであるが、所属していない人間で武器を持たぬ者はどんなものであれ入ることを許してはいない。許されるのは上部の人間の妻子や、管理塔の人間ぐらいである。

そのため、一度宿屋に戻り、欺いた武器を携えてサキィと合流し、デッドラビューンのアジトへと向かった。欺けど、それは鋒両刃の波紋無き刀。刀剣に詳しい人間にしかわからぬその凄き刀は、白刀【新慧】と名を持ち、特殊な力を持ち得てはいないが、その斬れ味と耐久力は伊達ではない。

「クウェイト小父さん探してどうするの?そこだけは聞かなかったけど」

「確かめたいことがあるのと、伝えなきゃならないことがあってね。いないなら…、一つだけ確信をできる。尚更、探さないといけなくなるけど」

「聞きたいけど、そういうことって深入りしないほうがいいんでしょ?」

「昔なら何も考えず深入りしてくるくせに、しっかりしてるな」

「ギルドに所属してから、大人になったってことよ。もうあのときの私じゃないんだから」

ふふーんと自慢げに腕を組むサキィ。アジトに行く途中の道のりには、たまにデッドラビューンの人間や、他のギルドの知り合い等がすれ違いざまにサキィに話しかけてくる。有名になっているのか、周囲に好まれているのかはわからないが、それでも、サキィは一人前と認められているのだろう。この世界で、女性で認められるのは凄いことだ。

「頑張ってるんだな。たいしたもんだよ」

「何々、急に。久々だからってギルスらしくないな、もぅ。調子狂っちゃうじゃない」

ギルスは失笑しながらも、わからないように顔に笑みを浮かべてサキィを見る。彼女は照れくさそうに笑って恥じらいを見せていた。男勝りの女の子も、成長してしまえば立派な女性だ。とそう思った。