グランディオ

「ギルス!!」

突然出されたその言葉で止まった時間は動き出し、ギルスに女性が飛びついた。見たところ二十歳そこそこで、すらっとした体つきに何か強い気を感じる。

「覚えてくれてたのか、サキィ」

勢いを留めて、抱きつかれた身体を離すと、真っ直ぐな目線で彼女の顔を見た。少し潤おんだ瞳には嬉し涙でいっぱいの感情が見て取れる。

「戻ってきたんだ、帰らないとか言ってたわりに。ねね、ニニアスもここに来てるの？」

「ニニアスは…、来てないんだ。ここまでの距離を旅させるわけも行かないから」

本当はもう、死んでしまっているが、ギルスはそれを口にせず、簡単にここに来た訳を話した。

彼女はデッドラビューンのヴァイダーになったということで、彼女は小さい頃、住宅区に住んでいて家が近い幼馴染であった。いつも、クウェイトとしていた修行の後を付いてきては真似事をしていたのが彼女の子供時代の印象である。内緒で二人で、Ｇ級のラベッタと呼ばれる兎を狩ってはいたが、考えなしに突っ込む癖があって、苦戦を強いられていたことのほうが多かった。

それでも、戦いの中で新しい戦闘法を編み出しては強くなっていくというなんとも珍しい狩戦士であった。