【実話】コイウタ・完



カタッ……



椅子に座り、鍵盤の上に手を置く。

一度吹き飛んだ緊張が、また押し寄せて来る…



今日は、リハと違って失敗は許されない。


ドクドク…。


音が聞こえるんじゃないかってぐらい、私の心臓はもう最高潮にドキドキしている…。





緊張のあまり歌よりもピアノを間違えずに弾くことに気がいってしまうんじゃないか…って、頭の中はそればかり考えてしまっている…。




必死で、自分の指が自然に動いて気持ち良く歌っている姿を想像する…。


リハでの反省が、走馬灯のように一気に駆け巡る。




そして…


大きく…、一回だけ深く深呼吸をし、キーボードを弾き始めた。


緊張のせいで少し鍵盤が重く感じる。