【実話】コイウタ・完




デビューしてからは、ライブや取材など、アーティストとしての仕事が増えてきた。




初めて、テレビの歌番組での収録も体験した。



自分のために組まれたセットの中で、たくさんのカメラを前にデビュー曲を歌う。

収録のあと、たくさんの小さなテレビが壁にはめ込まれている「サブ」という部屋に案内されて、さっき自分が歌ってた姿が色んな方角から映された映像を見せてもらった。

画面に写る自分を見て、なんだか少し自分じゃないみたいで恥ずかしかった。


だけど、いつも家で音楽番組を見てるのと同じで、他のアーティストさんと同じ土俵に立っていて、私は本当に歌手という夢を掴んでスタート地点に立つんだと実感した。




司会のお笑い芸人さんとのトークとか、今までテレビで見ていたことを、今度は自分がしている…。

不思議な感覚だった…。


それに、収録している時はあまり実感はなかったけど、実際にテレビでオンエアされたあと、友達から『見たよー』っていう連絡をたくさんもらった…。




デビューの2ヶ月前から始めたブログに来る応援のメッセージ…
ファンレター…
毎回ライブに来てくださるファンの方々…


まわりからの反応が少しずつ増えていって、デビューしたことによる目に見える変化に私は心から喜んでいた…。