【実話】コイウタ・完




でも正直デビューしたって実感は
全くなかった。


昨日の自分と、今日の自分も
一緒な気がする……。



そんな風に実感がまだ湧いてない私たちは、担当スタッフさんたちと一緒にCDショップへと向かった。




『ザ・ライバル』

そう書いてあるコーナーがあって、私とせあらちゃんのCDが隣同士に置いてある。


ポスターにCD、自分の顔が他のアーティストの人と同じように棚に並べてあることが信じられなくて嬉しさのあまり言葉が出なかったのを今でも覚えている…。



―私本当にデビューしたんだ―



アーティストになる夢を持って9年かかった…。

そしてavexのオーディションを受けてから、もう5年近くたった…。


これまでたくさんのチャンスを私は逃してきた…。


でも、本当に本当に
今回はやっと夢を掴んだんだ…。



もうこの夢を無駄にしないように…今の初心を忘れないように…



頑張らなくちゃ…。





強くそう思った。