佑斗が壁を殴った。
壁には小さな穴が開いた。




『すぐそうやって物に当たんなよ!私だって口で話してんじゃん。だったら口で言い返せよ』



『口じゃ詩音に勝てねーだろ。』


本当はこんな言い方じゃなく、素直に「一緒にいたい」って言えればいいのに…。

私は強がって口調が荒くなってしまう…。





あれから1ヵ月…。
私は佑斗の部屋に住み着いていた。


一緒にいると、離れたくなくなって、家に帰らなくなった。


仕事はきちんとやっている。

ただ佑斗といたいがために、レッスンや学校に行かない日々が続いていた。



佑斗は私がいると私に構ってしまうから、夢に集中出来なくなっている。



そんな佑斗を見て私が苦しめてるんだ…って思うと辛かったけど、それより佑斗といない寂しさを自分が味わうほうが嫌だった。