どれくらい歩いただろうか。
気付けば人は少なくなっていて、杏の家の近くだった。
本当なら他人を巻き込みたくない。
だけど、今のあたしじゃどうしようもないから。
助けて……助けてっ……!!
チャイムを重く押す。
『はい?』
「杏……お願い……助けて……」
震える声でなんとか伝えると、あたしだと察知した杏が急いで出てきた。
「凛っ!?どうしたの!?」
泣いているあたしを見て、杏はあたしを家の中に入れた。
椅子に座り、心を落ち着かせる。
「杏……今からあたしの言うこと、信じてね……?」
一瞬杏は戸惑っていたが、力強く頷いた。
そして、あたしは言った。
喜一君の異常すぎる束縛のこと、
今まで監禁されていたこと、
逃げ出して杏に助けを求めにきたこと。
杏は最初はかなり驚いた様子だった。
話し終わった頃には、あたしの手を抱きしめてくれた。
久しぶりの人の温もりに、あたしは泣いた。