腕を掴まれる感触があたしを襲う。 金属独特の冷たさ。 「ちょっと痛いけど、我慢してね」 そう言ったと同時に、腕に激痛が走った。 いや、実際はそれほど痛くないのかもしれない。 “恐怖”が痛さを倍増させている。 プツッという音がしたような感じがした。 生温いものが、腕をつたう。 「………―――っ」 声にならない叫びが出る。 心臓が尋常じゃないほど動き出す。 今死んでもおかしくない。 精神が体を狂わす。 「痛いよね。ごめんね」 喜一君の声が耳に入ってこない。 おかしい。 人間じゃない。