ガチャガチャ
金属のこすれあう音に、あたしは目を覚ました。
どうやら、いつの間にか寝てしまっていたらしい。
音がしたほうにやると、喜一君が机でなにかしている。
「あ、起こしちゃった?ごめんね」
申し訳ない顔をした喜一君が持っている“もの”に目をうつした。
メス。
という“もの”か。
ドラマなどで手術とかのシーンでよく見るそれは、
医療系器具。
そう簡単にまとめたほうがわかりやすいだろう。
“それら”を喜一君はいじっている。
「あぁ、これ?」
じっと見つめていたのがわかったのか、喜一君は手に持っているものをヒラヒラと見せた。
「これね、今から使おうと思って」
にこっと笑う喜一君が、恐ろしかった。
なにに使うかはまだわかないが、決していいことではないこはわかった。
というより、予測された。
メスのような鋭利な金属物。
注射器。
あきらかに、いいものではない。

