バタン、という音ともに、シンと静まり返る部屋。 自分の家だと言うのに、居心地が悪い。 しばらくして、ジャッーと水の流れる音がし、喜一君がトイレから出てきた。 「ごめん。もう行くね」 そう言い、喜一君は荷物を持った。 玄関へと向かい、鍵を開けようとしたとき 「え……?」 あたしは喜一君に抱きしめられていた。 「ごめんね。最後だから。しばらく、こうさせて」 ぎゅっ、と抱きしめられる力が強くなる。 どれくらい経っただろうか。 もう離れようと、呼びかけたときだった。 カチャ――――……