「いーなぁ!それって愛されてるってことじゃん!!」
スプーンをあたしに向けながら、杏が言った。
昼休みの学食。
人が溢れる場所で、あたしは杏に相談していた。
喜一君のことを。
「そうかなぁ……」
「そうだよ!凜、それは贅沢な悩みだよ?今時そんな彼氏いないって!」
いない。
それは、わかる。
度が行き過ぎている。
携帯に、あたしだけのメモリ?
そこまでいくと、“愛”を通り越して“異常”だ。
そのことを杏に言うと
「不安なんだよ」
だって。
そうなのかな。
それなら、いい。
愛されるのも嫌じゃない。
むしろ、嬉しいし安心する。
だけど、束縛は別。

