「どこ行こうか」 喜一君のその言葉で、あたしは考えた。 「うーん……」 結局あたしが出した結論は 「どこでもいいよ。喜一君と二人なら」 だった。 喜一君は少し顔を赤らめた。 そんな顔を見て、あたしは幸せだな。 って思った。 ごく普通のどこにでもいる恋人。 ちょっと仲がよすぎて、バカップル。 ってぐらいだと、あたしは思ってた。 だけど、それはただの思い込みで。 これからどんなことあるだとか、 どんなことになるとか、 あたしは全然考えていなかった。 というか、考えられなかった。