複雑に開いた壁の穴。 そこから伸びる、腕。 来やがったっ!!! 「凛」 ねっとりと、耳にこびりつく嫌な声が、彼女の名前を呼ぶ。 彼女は恐怖で立つこともままならない。 「愛してるって」 早くっ、早く開けないとっ!! 焦ってチェーンが外れない。 「言ったじゃん」 開いたっ!! やっとチェーンを外し、ドアを開けようとした、が。 グンッ!!! 首元を掴まれ、一気に後ろに放り投げられる。 「……っ!!」 勢いよく床に叩きつかれ、立てない。 そんな俺の胸倉を掴み、殴り始めた。 無表情で。