ドスのきいた、今まで聞いたこともない程の恐ろしく低い声。
ヤバイ。
後ろは振り返らず、ドアを素早く開け、部屋を出ようとしたとこ、
「……っ!!!」
肩に激痛が走り、ぐちゃりと生温かい感触がする。
しかしそんなことも気にせず、部屋を出た。
「凛っ!!!どこ行くんだっ!!!?」
ドアが閉まる直前に、聞こえた声と顔。
恐怖で全身の鳥肌が立った。
急いで自分の部屋に入り、鍵を閉めチェーンをかけたと同時に
ドガンッ!!!
凄まじい音がドアを通じて部屋全体に響く。
ガンッ!!ガチャガチャッ!!!!
ドアノブが必死に回されている。
まるでそれは人間ではなく、“恐怖”で出来た魔物。
隣では彼女が泣きじゃくりらながら震えている。
「大丈夫……」
しばらくして、音は止み、彼女を部屋へ通した。

