部屋はなにも変わりはなく、ただの一人暮しの部屋。
「あの、一人ですか?」
「えぇ……はい」
「前出た男の方は……??」
「さっき帰りました」
俺は虫を捜すフリをしながら、部屋を見渡す。
「あの、テレビの後ろに虫がいるみたいです。俺の家によく効く殺虫剤があるんですが、どこにあったか忘れちゃって……。一緒に探してくれませんか??」
彼女にそう問い掛けると、彼女は少し表情を強張らせた。
俺は何も言わず、彼女の手を掴み、玄関へ走った。
「あのっ……」
彼女の声と同時に、後ろで物音がする。
「オイ」
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