「口、あけろよ」 声のトーンと表情が一致しないのに、鳥肌が立つ。 「早く」 あたしは重く口を開いた。 生暖かい感覚が、口全体に染み渡る。 飲み込めない。 無理矢理喉を通せば、吐いてしまう。 「いい子だね」 優しい声と表情。 それを見て余計に吐き気がする。 「飲み物が……欲しい……」 かすれた声であたしが言うと、喜一君はお茶をあたしの口の中に入れた。 とにかくお茶で流しこまなきゃ。 ヌルッと感覚の悪いのが、喉を通り抜けていく。