ガラッと開いた扉とともに、いい匂いが部屋の中に入る。 美味しそうな匂い。 だけど食欲もないし、食べるつもりもない。 「ほら」 あたしの顔の前に食べ物をのっけたスプーンが持ってこられるが、あたしは無視をした。 「凛、食べなよ」 優しい音色が心地悪い。 「ねぇ」 喜一君はさっきよりスプーンをあたしに近づける。 「食べないなら、お仕置きかな」 「……っ!」 バッと勢いよく顔を上げた。 「ほら、食べてよ」 グイッと口にスプーンが押し付けられる。