「きゃああああ!」

「どうしたんだろう」

普段叫ばない先生が、思い切り大きな声で叫んだので、ただ事ではないことが分かった。

「ちょっと言ってくる」

希衣菜はそう言って、机から降り悲鳴が聞こえた方へ走って行った。

-ザワザワ-

「どうしたんだろう?」

「何があったのかな?」

皆が騒ぎ始めた。

「よしっアリス、私たちも行ってみよ?」

私がアリスに聞くとアリスは

「ああ」

と答えて教室を出た。

「待って~」

私もあわてて教室を出た。

悲鳴が聞こえた場所は、一番西にある今は使われていない旧校舎。

-タッタッタッタ-

私とアリスは走って旧校舎まで向かった。

「あ……」

旧校舎の入り口には、悲鳴を上げた先生と希衣菜、それから何人かの生徒が立っていた。

「あれじゃない?」

私は一緒に走っているアリスに聞いてみた。

「ああ」

「ハアハア」

私たちは息を切らしながら希衣菜に近づいた。

「何があったの?」

私が希衣菜に聞くと、希衣菜は真っ青な顔をしながら旧校舎の奥を指差した。

私とアリスはゆっくりと旧校舎の奥を見た。

そこには……血まみれの死体が横たわっていた。

「誰、あれ……死んでるの?」

私は驚いたあまりいつもより冷静になった。

隣のアリスを見るとアリスも固まっていた。

「……」

そこにいたみんなは言葉を失っていた。

希衣菜は焦って

「春陽! 今持ってるケータイで救急車を呼んで!」

と私に言った。

「え、あ…うん、ちょっと待って」

私は言われるがままにポケットを探った。

……ない、ないない!