「やあ~今日もいい天気ですねえ」

「ですねえ」

やあ皆こんにちは! オレは渡辺一樹。カズってよんでね!

でこいつが阪鍋陽太。マジックが得意な奴なんだよ!

ってオレは誰と喋ってるんだろう?

まあいいや。

オレが見知らぬ誰かと喋っていると、事務所のドアが開いた。

お客さんかな?

「おいカズ!」

「なんだあ、アリスかあ」

がっかりしたようなほっとしたような溜息をオレは1つ吐いてから、読んでいたマンガを

棚に戻した。

「なんだとはなんだコラ」

「おやアリスさん。お出かけに行ってたのですか?」

なぜ敬語に? とオレが陽太に疑問を抱えていると、アリスはオレのお菓子の袋を開け、

パクパクと食べ始めた。

「おーい、アリス。それオレの……」

「知らん」

出ました! この技。何かしても知らんですますアリスの特技!

そうじゃなくて……。

「さっきディアと一緒に服を買いに行った」

「ほお~」

「そしたらディアの奴、ナース服とかいうものを私に着せようとするのだ」

ああ……またか。

「私はこういう服の方が好きだというのに」

こういう服っていうのはロングTシャツに短パンのことかな?

陽太がお茶を沸かしながらアリスに言った。

「そうだねえ、確かにあのコスプレ癖は直してほしいねえ」

そうなんだ。ディアにはコスプレ癖があって、気にいった衣装はアリスに着させるんだよ

ねえ。ま、オレも嫌いじゃないけど。

「で、ディアを置いてきたと?」

陽太がそうアリスに聞くとアリスは当たり前のように答えた。

「ああ」

-バンッ-

「?」

「ちょっとアリス! 私を置いて行くなんてひどいわ」

突然ドアが開いたかと思うと、両手に大きな袋を抱えたディアが怒り顔で立っていた。

「ディア? その袋は?」

オレがディアに聞くと、予想していたどおりの言葉が返ってきた。

「え? これ? もちろんアリスの服よ」