「まだ寝ないの?」

「ん…眠くない」

佐和子の膝の上に頭を預けながら、俺は大して面白くもないテレビをボーッと眺めていた。

金色の猫っ毛な俺の髪を、爪の先まで綺麗な佐和子の指がそっと撫でる。


「瞼が下りかかってるよ」

とクスクスと笑われて赤くなった顔を隠す為に寝返りを打ち、俺は佐和子のお腹に顔を埋めた。


だって
せっかく一緒にいるのに

眠ってしまうなんて勿体なくて。



「甘えんぼさん、ベッドで寝ないと風邪引くよ」


耳元でそう囁かれて、俺は身体をびくりとしならせた。

これで悪気がないから質が悪い。

俺が毎日必死に理性と格闘してるなだんてきっと彼女はこれっぽっちも思ってないんだ。



ぐずりながらそこへとどまろうとする俺を佐和子はも~とかしょうがないんだから~とか言いながら引きずって部屋まで連れていく。


「まだ寝たくないよ」

「明日学校遅刻するつもり?」


ちょっと怒ったように言われると、俺は黙るしかなかった。

それ以上我が儘言って、嫌われたくないから。



「一緒に寝てあげるから、そんな顔しないで?」

困ったように笑って俺の頭を撫でる佐和子。

俺は安心してゆっくりと首を縦に振って、握られた手にキュッと力を込めた。