「ねぇ、どうしたの?どっか痛―――…」


佐和子の不安げな声が途中で途切れたと思ったら、それとほぼ同時に俺の口の中に甘い味が広がった。


やっぱり、欲望が勝ってしまったらしい。


柔らかい感触を堪能しながら、その魅惑的な甘味を貪るように舌を動かすと

「…っ…は、…ゅ、きっ…」

息苦しそうな、でも何処か興奮を誘うような呟きが聞こえた。


最初は両手で固定された顔をなんとかそこから解放出来ないものかと佐和子は全身でもがいていたけれど、彼女の中で何かが吹っ切れたんだろう。

ある時を境に抵抗はピタリとやんで、いつの間にか俺の要求に応えるように自らも舌を絡ませていた。



一度ついてしまった欲望の炎は

そう簡単には消えてくれなくて。



「んっ…んン…ふっ…」


どんどん甘ったるくなっていく佐和子の声を

俺は意識の遠くで

子守唄みたいに聞いていたんだ。