色恋花火

普段は人前で手を繋ぐ事すら嫌がるくせに

公共のしかもいつ誰が通るかもわかんないこんな道路の真ん中でキスをしてくるなんて

相当追い詰められていたに違いない。


一生懸命酸素を取り込みながら潤んだ瞳で拓馬を見上げると

拓馬は微かに頬を紅潮させ、あたしから顔を背けて、言った。


「お前は黙ってずっと側にいりゃいんだよ!変な心配しなくてもめちゃくちゃ惚れてるっつーの!」


「へっ…?」


聞き逃してしまいそうなくらい、一瞬で耳を通りすぎていった拓馬の本音。

やっと理解できた頃にはあたしの熱も一気に上がってきた。



「二度とこんなカッコわりー事言わねぇぞバカ女!」


…何で今まで見えなかったのかな?


君はいつも

どんなときでも

側にいたのに。




ねぇ…


「あたしの事本当は好きで好きでしょーがないんだ?」


「はぁ!?調子乗んな!」


「ふふっ」


憎まれ口は照れ隠し。


「…何かすっげーむかつく!!」



二人の気持ちは

同じだったんだね。





もう見失わないよ。



この眩しいくらいに光輝く星空を

10年後も君と

見ていたいから。


       ~Fin~