ダンッ!
「きゃっ…」
突然、コンクリートの塀に勢いよく身体を押し付けられて
あたしは痛みに顔を歪めながら拓馬を見据えた。
お…怒ってるの…?
「だったら言わせてもらうけどなぁ!俺だってさっきから気が狂いそうなくらいムカついてんだよ!」
捕まれた手首に圧迫感が増し、そこはギリギリと音を立てている。
こっ…怖い…っ!!
あまりの迫力に身体が震え、あたしの目にはじわりと涙が滲んだ。
短気で…いつもちょっとした事ですぐ怒るけど
こんな風に切れられた事は初めてだ。
「…俺以外の男に触らせてんじゃねぇぞ!お前は俺のモンだろーが!」
ここが公共の、一般道路だという事もお構い無しに
拓馬の唇があたしの唇に押し付けられる。
すぐ後ろは塀で
抑えつけられているあたしに逃げ場はなかった。
「…んっ…ふ…」
痛いくらい力強く唇を吸われれば開かざるを得ないそこの隙間から入り込んできた、熱くてぬるりとした感触がめちゃくちゃに暴れ回る。
「はぁっ…ん、ぁ…」
うまく息継ぎが出来ずに変な声が漏れる。
酸素が薄くなるにつれて
頭がだんだんとぼんやりしてきた。
ガクッ。
立っていることさえ困難になり、崩れ落ちるあたしの身体を拓馬が抱き抱えると、彼はようやく唇を解放してくれた。

