「これでわかったろ?俺以外の男は信用できねぇって」
……。
あたしが物言いたげなじとっとした目で拓馬をチラリと盗み見ると
「…何だよ、何か文句あんのか?」
「いひゃいっ!」
おもいきり頬をつねりあげられ、横へ引っ張られた。
加減というものを知らないのか、この男は!
「…悪かったな、そんなに楽しみにしてるなんて思って無かったんだよ」
ふと手の力が緩んだと思ったら、拓馬の申し訳なさそうな言葉が頭上から降ってくる。
俯いてるせいか、表情は見えなかった。
「…花火が見たかったの。二人で」
「花火?」
「七夕祭の花火を男女のカップルで見ると、その二人は永遠に離れないんだって…迷信だけど、そんなのに縋りたくなるくらい不安だった…」
拓馬はもう、あたしの事なんて好きじゃなくなっちゃってるんじゃないかって。
ただ…
一緒にいたかっただけなんだ。
永遠なんてないのかもしれないけど
それでも
拓馬の未来にあたしは居続けたい。
隣で笑っていたいんだよ。
「ばっかじゃねーの」
「えっ…」
「そんなんに頼らなくてもわかんだろ?俺がお前を手放す気なんてねーって」
今更何言ってんだよという顔で拓馬はそう言うけど
「わ…わかんないよ!態度に出してくんなきゃ…言葉にしてくんなきゃ…不安だよ!」
知らないでしょ?
24時間、拓馬の事であたしの頭はいっぱいだって事。
拓馬は…
少しでもあたしの事を想ってくれる日がある?
眠れなくなるくらい
切ない夜を過ごした事…ある?

