少しずつしか進まない。
なのに、
東の空はどんどん明るくなっていく。
『大丈夫ですよー。日の出までにはまだ1時間弱ありますからー。』
私達の近くを登っているツアー客を安心させるべく放たれた、ガイドの男性の拡声マイクを通した声が聞こえてくる。
見上げると、頂上が見える。
でも
目の前には人の波が列になっている。
ゴールが見えるのに、遠く感じる…。
「莉央。さっきから飲んでないだろ?ほら。」
渡先生が差し出したのは、ペットボトルのスポーツドリンク。
だけど…
これって…
さっき、先生が飲んでたやつじゃ…!?

