「症状が回復しないですね。これ以上登っても、更にキツくなるだけです。」 森田先輩が、肩を落としながら渡先生に言った。 8合目。 休憩所でしばらく休んだけど、気持ち悪さが治らない。 そんな私の様子を見た森田先輩が告げたのは、リタイア勧告だった。 「え…、そんな…」 私の顔は困惑に変わる。 「俺は、下山した方が都築さんのためだと思う。登るのが勇気なら、辞めるのも勇気だと思う。」 森田先輩は、真剣に私を見て言った。