「渡先生。私、こんな遅いペースだと、調子狂っちゃいそうですぅー。」
愛が先生に甘ったるい声を出した。
だけど、先生は…
「じゃあ江藤、川崎に追いついて一緒に登ってくれ。」
真剣な顔で一喝。
「え…?」
愛の顔がゆがむ。
「川崎、たぶん一人で登ってるはずだ。あいつさっき車酔いしてたし、どこかで転んでても大変だから、ついててあげてくれ。」
「だって…、先生は?」
愛はまだまだ食い下がらない。
「莉央と後から登るから。遅いやつを支えるのが俺の役目だし。」
愛は私の方を見た。
その目は…、悲しそう?
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