~~~♪♪♪



「はい、もしもし」


それは久々にきた、彼女からの電話。


『………あ、純?』


「ん。俺も電話しようと思ってた。今月分入ったからさ、明日時間作れる?」


『あ…その事なんだけど、もういいの』


「……は?」


何処か不穏な雰囲気を漂わせる彼女の声に

俺を中心とした空気が全て止まった気がした。



もういいって?


一体どういう…



『もう、お金はいらないの…』



静かに

でも確かに震えた声で

彼女は言った。



「えっ、なんで…?」



実際に弟やらに会った事はないが、俺の脳裏を最悪の事態が鮮明に映像となってグルグルと駆け巡る。



もしかして…

弟さん、亡くなったんじゃ…。


そう思わざるを得なかった。



『……とにかく、もういいから。じゃあね』


ブツッ。

プーップーッ。


携帯電話は一方的に切られ、俺はというとその場に呆然と立ち尽くし

しばらくまばたきをすることさえ許されなかった。



突然、何が起こったというのだろう。


すぐにかけなおしても、電源を切ってしまったのか電話は繋がらず

ただ静まり返った部屋の中に、虚しく機械音だけが響き渡る。



無理もないか…。

弟さんの事、凄く大事に思っていたっぽかったし…。

今は一人になりたいのかもしれない。


まさか、それが留美との最後の会話になるなんて思うはずもなく

その日、俺は静かに眠りについた。