ホッ、と胸を撫で下ろした。 しかし、 「おーぃ、忘れ物忘れ物!!」 次は聞いたことのある、 明るく通った声。 …今度は、 真っ白の白衣を翻して、 手に忘れ物のノートを掲げた 本物の室長が出てきた。 えっ、うわっ! と思った瞬間、 バッチリと目が合う。 しかし室長は、 そのまま横を通って、 さっきすれ違った生徒に 忘れ物のノートを渡した。 無言のウチ。 そして、 生徒を見送った室長は、 とうとう振り返って口を開いた。 「こんにちは、…絢音ちゃん。 来たんだね。」