「山部先輩って彼女いますか!?」

気の強そうな女の子がそう言い放った後

まだ後ろで小突き合っていた残りの二人はやっと小突き合いをやめ

一斉に私の方を向いた

「どうなんですか!?」

気の強そうな女の子は

私にジリジリと近づきながら問いただす

さっきまで後ろの二人の中で小突き合いに参加していたのが嘘のようだった

「う…うーん、どうだろう?マネージャーはそこまで把握はしていないからね…」

私がそう言っても彼女は何も言わずジリジリと近づく

「でっでも、いるようには見えないよ!」

彼女に圧倒されて、私は少し早口で話した

精一杯の笑顔で話したつもりだが、たぶん引きつっていただろう

すぐ近くにあった彼女の少し恐い顔が笑顔に変わった

後ろの二人もキャッキャッと喜び始めた

先ほどの声とは違う少し高くなった彼女の声は

ありがとうございます

と言って

三人は帰っていった

それを見届けると、私はふぅっと息を吐き

後ずさりしていた格好を元に戻した

そして、体の向きを変え

教室へ戻った