「…ごめん」


血の色と量に怯み、つい謝ってしまった。

透はそっぽを向く。

これだけの人に目撃されて、彼女に暴力で負かされるのは屈辱だろう。


「保健室行こ」


引っ張るようにして保健室に向かう。

先生は苦笑しながら、消毒液と絆創膏とベッドの個室を一つ、提供してくれた。

透をベッドに座らせ、私はその辺にあった教室にあるものと同じ型の椅子に腰を降ろす。

透はようやく口を開いた。


「お前のパンチは世界を狙えるよ。俺が鍛えてやる」

「…ごめんなさい」


どうしよう。
打ち所が悪かったようだ。

精一杯、謝罪の気持ちをこめて消毒する。