私のグーパンチが見事に透のアゴに入った。

教室が静まり返る。


終わったかな、これは。


静かにそう、思った。

男兄弟の中で育ったので、口よりも前に拳で語ってしまう。

この癖は治さないといけない。


まあ、悪いのは透の方だ。

付き合う前にも、透との仲に気を使われて頻度は少なかったものの、
他の友達と遊ぶことがあった。

それをどうして今更許可を得なければいけなくなったのか。

浮気だの女に走っただの2日に渡ってうだうだ嫌みを言われる筋合いもない。

今日となっては過ぎたこと。


透は口を拭いながら、私を見下ろす。
今までで見たこともない表情だった。

どこか口の中を切ったようだ。
手の甲に血がついている。