私が空腹でたまらないのに、どうして透はあんなに楽しそうなのだろう。


私の席は窓際の後ろで日当たりが良くて落ち着くのだが、透の席は中央の前方なので嫌でも目についてしまう。

透と話す隣の子の欠点を探ろうとしてしまう。


付き合う前は私はこんなに嫌な女じゃなかったのに。


放課後のテストを終え、ため息をついて教室に鞄を取りに戻る。


「ごくろうさま」


私のため息の原因がいた。

吹奏楽の練習場に使われていなかったので、一人。


「なんでいるの」

「いちゃだめ?一緒に帰ろうよ」


もう喫茶店に寄る時間でもない。

真っ直ぐ帰れば家の方向が正反対の私たちは十五分で別れてしまう。