「あんたさ、
俺のこと本当に好きなの…?」


好きだよ。

その一言を言うことができなかった。


好きだけど、キスが嫌なだけなんだよ。

漠然と、大量のトゲトゲうぞうぞした物体が行き来する様子を想像してしまう。


透の方こそ、どう思ってるの?


あの日、呆れたように笑った透は、何事もなかったように映画の話を続けた。

一度も好きだと聞いていない。


考えれば考える程、頭が痛い。

寒気がする。


…あれ?


熱を計ると38度。

雨に濡れっぱなしで呆けていたので、風邪を引いたらしい。