「あ、もう一つ忘れてた。
やっぱデートの帰り際はちゅうだよね」


透が思い出したように提案する。

やはり、兄貴たちと帰った方が良かったのかもしれない。


「…やだよ」

「なんで」


透が悲しそうに見下ろす。

もう大分乾いたものの、しっとりと束になった髪。

今の透は捨て犬を連想させる。


「あんたさ、
俺のこと本当に好きなの…?」


とっさのことに、

口ごもる私に


透は呆れたように笑った。