「いや、デートなのに、手をつなぐの忘れてたから」


忘れてたって、手をつなぐことはそんなに重要度低いのか。

そして、透もこれがデートだと認識していたことに、少し照れる。


「…離してよ。暑っ苦しいなあ」

「恥ずかしいの?」


にやにやしながら覗き込む透。
顔が火照るのが分かって、うつむいた。

つかまれている腕に力がこもる。


これは手をつなぐというより、連行されている気分。

意識すればする程、透の体温が伝わってくる。


「恥ずかしいんだ?」

「違うよ!」


どさくさに紛れて顔近いよ。