「――だって……」
分かったけどさ
分からないんだよ。
「何で?」
そう、これが分からない。
何で私?
出会って間もない、この私を?
仁科はつり上がった眉をヒョイと下げた。
「何度も言ってるじゃん?
僕達が前世で恋人同士だったからって……」
「!」
この期に及んで
またその話!?
仁科の頬をはたきたくなる。
でも
仁科は
本当に悲しそうに
俯いて、笑った。
「美月ちゃんは覚えてないんだもんな……
そりゃ変に思うよね
僕だけが記憶を引きずって好きなんだから」
記憶を引きずって
好き、なんだ……?
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